ANGEL PORTを開発・運営している 堀井 翔太 と申します。

以前はFablicという会社を創業し、フリマアプリ「ラクマ(旧Fril)」を開発・運営しておりました。

現在はFablicの共同創業者でエンジニアの 堀井 雄太 とデザイナーの takejune の3人を中心にこのプロダクトを運営しており、それぞれが大小あれど、エンジェル投資もしています。

この記事では、正式にリリースしたANGEL PORTについて、私の思うところを書かせていただきます。

ANGEL PORTは、スタートアップの起業家がエンジェル投資家を探せるプラットフォームです。

スタートアップの資本政策は「誰を船に乗せるか」の意思決定であると言えます。『ANGEL PORT』とは「エンジェルが集う港」であり、仲間となったエンジェルを乗せて船が出航するイメージで命名しました。

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このプロダクトがスタートアップ業界内のネットワークを持たない起業家が、エンジェル投資家にアクセスできるきっかけになれば嬉しいです。

エンジェル投資の原体験

ここ1~2年のスタートアップの資金調達に関して、個人的に思うところはシードの調達環境は自分が起業した約7年前と比べて、グッと良くなってきており、2015~17年を境に買収によるExitを果たした起業家が増えたことで、TechCrunchなどの資金調達ニュースに個人投資家の名前が掲載されているケースも多くなったということです。

この先、若い起業家のM&Aが増え、メルカリのような大型IPOを果たしたベンチャー社員がSOを行使することで、資金を得た人々が増え、エンジェル投資家の数も増えていくことと思います。

反面、自分自身がエンジェル投資をしていく中での小さな気付きや課題があり、今後のスタートアップのエコシステムの発展にはエンジェル投資のプラットフォームの整備が必要なのかもしれないと思うようになりました。

小さな気づき

現在のエンジェル投資は、少しずつエンジェル投資家が顕在化している一方で、エンジェル投資家側もオープン且つ信頼性が担保された「エンジェル投資を表明する場」が存在せず、起業家側も「エンジェル投資家」というキーワードをGoogleで検索し、発見したソーシャルアカウントにDMを送っています。

感じた課題

起業家がエンジェル投資家へメッセージを送ったとしても「返信が返ってこない」という声を聞くことがあります。

この原因は、毎週何件もコンタクトがくるエンジェルと、月に数件というエンジェルで変わってくるとは思いますが、共通してるのは、「一旦返信してやり取りが始まると、断るのが面倒」「さらに会ってしまうと、断るのが面倒」というインサイトだと思います。

その場合、メッセージの内容のみで「会う or 会わない」を判断するケースが増えますが、大体の場合、「構造化されていない文章がそのまま送られてくる」「知りたい情報を捉えていない一方的なメッセージが届く」などの情報の非対称性からミスマッチが生じています。

こうなってくると、誰かの紹介経由以外で会える可能性は低くなってしまいます。

ANGEL PORTが提供する価値

 これらのインサイトを踏まえて、ANGEL PORTではまず次のような価値を提供します。

エンジェル投資家として、名乗りを上げられる

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エンジェル投資家が、投資先のポートフォリオを公開できるプロフィールページを提供します。既に30名以上が投資先ポートフォリオを掲載しています。

エンジェル投資をされている方はもちろん、これからエンジェル投資をしていきたい方も、エンジェル投資の意思表示をすることができます。今後、起業家とエンジェル投資家をマッチングさせる仕組みづくりを進めていきます。

また、会員登録にはFacebookログインを必須としており、起業家も投資家も実名での利用を推奨しています。 フリマアプリと同じように「誰でも使えること」と「安全のための取り組み」はセットだと考えています。

エンジェルからの返信率を高める

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起業家がエンジェル投資家に最初に送るメッセージを「必要十分な情報を含めて」 「見やすいグラフィックで」送ることができる機能を提供します。

エンジェル投資家によって投資したい理由は様々なので、必ず返信がもらえるわけではないですが、実験的にこの機能で起業家からのメッセージが少しでも読まれて、返信がもらえるようになればと考えています。

エンジェルの考えていることが伝わる

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エンジェル投資家のインタビュー記事を提供します。生い立ちから、起業や成功に到るまでの過程、エンジェル投資のきっかけと判断基準など、ボリュームも多いですが、その人柄が理解できるような濃い内容を掲載しています。

プロフィールやポートフォリオだけでは判断が難しく、お互いが投資する、されるという関係の中で良いマッチングになるように心掛けています。

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このようにエンジェル投資に関する情報の非対称性を無くしていくことで、エンジェル投資の勃興を支え、スタートアップのエコシステムの発展に少しでも貢献できるプラットフォームを創っていきたいと思っています。

最後に

エンジェル投資家を株主として迎え入れたい理由は、資金以外の経営資源の獲得感度の高まりから、ハンズオン支援を求めるニーズが高まったことに尽きるかなと思っています。

スタートアップが立ち上げやすくなった世の中においては、プロダクトがコモディティ化するスピードも早まり、ひいてはどういう応援団がチームのバックについてくれているかといった部分での競争優位性も大事になってきました。

私たちが日本で最初に始めたフリマアプリというプロダクトは最初は女子大生や20代の女性といった層がファッション衣類を売るところから始まり、今では農家の方が農作物を販売するようなプラットフォームまで成長しました。

今は成功した起業家や一部の資産家がエンジェル投資をしているのが現状ですが、資金はそんなにないけれど、第一線で活躍しており、スキルやノウハウを提供できる方が少額でもANGEL PORTを通せばエンジェル投資が可能になるような、そういった無消費層への架け橋になれるといいなと考えています。

最後に、このサービスの立ち上げにおいて協力頂いた30人以上のエンジェル投資家の方に、このブログを借りてお礼の言葉を述べさせて頂ければと思います。

本当にありがとうございました。

ANGEL PORTはほとんどが有志のメンバーで運営しております。

手伝いたい、コラボしたい、支援したい、俺もインタビューしてくれ、バグあるんだけど…。などございましたらカスタマーサポート宛までお気軽にご連絡ください。

※今回のタイミングでエンジェル投資家のインタビューメディアのAngelBaseのコンテンツも継承する形で引き継いでおります。

ANGEL PORT Team


Product owner / Chief editor
堀井 翔太 @shota

Developer
堀井 雄太 @yutadayo

Designer / Product manager / Photographer
@takejune

Editor
西條真史 @mash2445
草野美木 @mikirepo
亀井聡彦 @tolehico
飯田諒 @aviciida