この記事では、フィンテック企業で世界的に有名なユニコーン企業(企業価値が10億ドル以上の未上場企業)であるStripeを徹底解剖します!

Stripe とは

Stripe(ストライプ)は、オンライン決済インフラを提供するアイルランド・アメリカ合衆国の金融サービス・ソフトウェア企業です。Stripe は、お金にまつわる課題に対してさまざまなサービスを提供しています。

Stripe は、小規模なスタートアップから大手企業まで、あらゆる規模のオンラインビジネスに利用されており、Shopify や Amazon、Google などの有名企業も Stripe の顧客に含まれています。Stripe は現在、135 以上の通貨や支払い方法に対応し、42 カ国で利用可能です。

Stripe の CEO と主要メンバー

  • パトリック・コリソン:CEO

  • 1988 年 9 月 9 日にアイルランドのティペラリー県で生まれ、10 代前半から科学のコンテストでいくつもの優勝をしました。そしてその実績とともに、Massachusetts Institute of Technology(MIT)(マサチューセッツ工科大学)へ入学を決め、通うために高校を中退しました。
  • 大学の在籍中である 2007 年に Auctomatic(eBay の大規模販売者が在庫とトラフィックを追跡するための Software-as-a-Service プラットフォーム) を弟のジョン・コリソン設立し、Y Combinator に数百万ドルで売却しました。そして売却後、再び弟と共に Stripe を設立。
  • 最近では、2020 年にタイラー・コーウェンと共に新型コロナウイルス感染症関連の科学を加速させるファスト・グランツを設立しました。

  • ジョン・コリソン:Co-Founder

  • パトリック・コリソンの弟で、1990 年 8 月 6 日にアイルランドで生まれました。17 歳でハーバード大学に入学し、19 歳で兄と立ち上げたスタートアップである Auctomatic を売却し、その後兄のパトリック・コリソンと共に Stripe を立ち上げました。

  • ディヴィヤ・スーリヤデバラ:最高財務責任者(CFO)

  • ゼネラルモーターズの元執行副社長兼最高財務責任者のインド系アメリカ人。前職では、欧州のオペル部門売却や、配車サービスを手掛けるリフトへの出資に貢献し、GMの自動運転車開発プロジェクトではソフトバンクから22億5000万ドル(約2500億円)の出資確保に尽力しました。

  • ウィリアム・アルバラド:最高経営責任者(CBO)

  • 彼の過去の経歴として、オンライン音楽ストアである Lala Media を共同設立しまし、 2009 年に Apple に買収され、iTunes の一部となりました。
  • その後、モバイルトラフィック管理および最適化ソフトウェアのリーダーである SEVEN Networks で製品およびエンジニアリング担当副社長を務めていました。

Stripe の創業初期の苦悩

市場規模を調べずサービスを提供し始めた!?

2010 年の初頭に、ジョン氏とパトリック氏は共同で Stripe の構築を始めました。当時、パトリック氏はいくつかの副業に携わっており、ウェブでの決済の難しさについて深く考えて、この問題を解決し、可能な限り簡素化したいと考えていました。そしてその後の半年間で、新たなサービスを自分たちで試したり、友人に見せたり、そしてどのように受け入れられるかを観察し続けました。

しかし、彼らは当初は市場規模がどれほどか、自身たちが目指すユーザーエクスペリエンスを提供できるのか、確信が持てていませんでした。詐欺対策や海外での支払いといった問題への対応、そして PayPal と同じような問題をユーザーフレンドリーに解決できるのかという疑問も持ち続けていました。

この当時、Stripe は決済会社と提携していましたが、このような課題を解決するために真剣に取り組み始めてから、自分たちが望むような体験全体をコントロールする唯一の方法は、プロセスのすべての側面をコントロールすることだと気付き、すべてを自社で管理することにしたことで今の形態が出来上がりました。

その後、インキュベーターである Y Combinator からの調達と、PayPal マフィアの代表とも呼ばれるイーロンマスク氏、投資家としてシリコンバレーでは知らない人はいないピーター・ティールらを最初のエンジェル投資家を迎え、彼らの資金と知見を用いてビジネスの軌道に乗ることができました。このことから、どのエンジェル投資家から出資を受けるかの重要性が伺えます。

会社名が決まっていなかった!?

彼らがこの事業に着手した当初、そのプロジェクトは「/Dev/Payments」と名付けられていました。/Dev/Payments という名前は、開発者(Developer)向けの決済(Payments)サービスであることを表しています。しかし、この名前には問題があり、創業者の一人であるジョン・コリソン氏は、インタビューにて次のように語っています。

「(この名前は)口にするのもはばかられるような名前です。それに、ほとんどのシステムでは、会社名にスラッシュを入れることができないんです。だから、変更する必要があると判断しました」

そこで、彼らは新しい名前を探し始めました。PayStack や PayDemon といった候補もありましたが、最終的には思いつく限りの名前を調べ、ドメインに存在する数を確認するようになりました。Stripe の当時の CTO は頭の中で思いつく多くの名詞と「.com」を結びつけて、どの単語がポジティブな関連サイトや会社が出てくるか調べ、「Stripe.com」が選ばれました。当初は、会社内でも、当初はあまり名前に関しての評判が良くなかったそうですが、時間が経つにつれて、特定の企業やブランドとは関係なく、愛着があるように感じられたそうです。2011 年 6 月、会社設立から約 1 年半後、最初のデザイナーがチームに加わり、ブランドとメッセージの同期を図りました。

ネット決済サービスにも関わらず、成長の鍵は「口コミ」

Stripe は、Y Combinator が関わる 99%以上のスタートアップとは違い、通常のスタートアップ・ブートキャンプのプロセスを受けることはしませんでした。というのも、パトリック氏らは既に彼らのプログラムに参加し事業の売却経験が過去にあることから、もう一度同じプロセスを経る必要性を感じなかったのです。

もちろん、時間を短縮することには成功しましたが、同時にどのように Stripe のサービスの認知度を上げることができるかという課題に直面しました。

しかしこの課題は、彼らの予期せぬ方法で解決することができました。

スタート時点では、決済システムを提供する立場から、一般的なソーシャルネットワークサービスとは異なり、人々が積極的に口コミで広めてくれることは期待していませんでしたが、他の決済システムが手間がかかり、人々が共同で業務を行うことにストレスを感じていた状況にうまく適応し、サービスは次第に注目を浴びるようになりました。その結果、ストライプのサービスが一人ひとりの利便性を高める手段として、友人から友人へと推奨されるようになったのです。

Stripe の特徴と成功要因

Stripe は、オンライン決済市場において多くの競合と差別化を図っています。Stripe の特徴と成功要因は大きく分けて、下記の 5 つの要素があります。

1. 高い開発者志向性

Stripe は、開発者にとって使いやすく柔軟な API を提供しています。開発者は、Stripe のドキュメントやサンプルコードを参考にして、簡単にオンライン決済機能を実装できます。また、Stripe は様々なプログラミング言語やフレームワークに対応しており、開発者のニーズに応えています。

2. 幅広いサービス展開

Stripe は、単に決済処理を行うだけでなく、オンラインビジネスに必要な様々なサービスを展開しています。例えば、

  1. Stripe Billing
    • サブスクリプションや請求書の管理
  2. Stripe Connect
    • プラットフォームやマーケットプレイスの支払いフローを構築するためのツールを提供
  3. Stripe Radar
    • 不正防止やリスク管理
  4. Stripe Issuing
    • 仮想カードや実物カードの発行
  5. Stripe Capital
    • 資金調達支援
  6. Stripe Corporate Card
    • ビジネス支出管理

これらのサービスは相互に連携し、オンラインビジネスの成長を促進します。

3. グローバルな対応力

Stripe は、世界中のオンラインビジネスに対応するために、多様な通貨や支払い方法に対応しています。また、各国の法律や規制にも準拠し、税金や会計などの複雑な問題も解決しています。

4. 優秀なチームとカルチャー

Stripe は、優秀な人材を集めることに力を入れています。Stripe の創業者であるパトリック・コリソンとジョン・コリソンは、アイルランド出身の若き天才兄弟として知られており、それぞれ MIT とハーバード大学に進学したものの、Stripe を立ち上げるために中退しました。Stripe のチームには、元 Google や Facebook、Twitter などの優秀なエンジニアやマネージャーが多く在籍しており、高い技術力とビジネスセンスを持っています。

また、Stripe は、オープンで多様なカルチャーを大切にしており、世界中のオフィスやリモートワークで働く従業員に対して、自由度と責任感を与えています。彼らは、自分の意見を率直に言える環境や、他のチームと協力する機会を提供しているため、従業員一人一人が社会的な使命感を持っており、インターネット経済の発展に貢献することを目指しています。

5. 高い成長性と将来性

Stripe はオンライン決済市場において、高い成長ポテンシャルと明るい未来展望を秘めていると多くの有識者に囁かれています。。実際、2021 年 3 月に資金調達ラウンドで 60 億ドル(約 6,600 億円)を調達し、時価総額が 950 億ドル(約 10 兆 5000 億円)に達しました。これは、Facebook や Uber が上場前に達した時価総額よりも高く、未上場企業としては世界最高の評価額です。

Stripe の上場予定は現時点ではないものの、その可能性は日に日に高まっています。Stripe は、2020 年に約 120 億ドル(約 1 兆 3,000 億円)の収益を上げたと推定されており、その収益源は多岐にわたっています。Stripe は、決済手数料だけでなく、サブスクリプションや不正防止などの付加価値サービスやソフトウェアライセンス料なども収益化しています。

また、Stripe は、新興市場や開発途上国にも積極的に進出しており、インターネット経済の拡大に伴ってさらなる成長が見込まれます。Stripe は、インドやブラジルなどの国々でローカライズされた決済ソリューションを提供しており、アフリカや東南アジアなどの市場にも注目しています。

時価総額の推移と投資家

2011 年にシードラウンドで調達をして以降、2021 年までに Stripe の時価総額は下記のように変動しています。

また、調達額は下記の表になります。

資金調達ラウンド 日付 調達金額 評価額
シード 2010 年 6 月 $20 万 -
シード VC 2011 年 3 月 $200 万 $2000 万
シリーズ A 2012 年 2 月 $1800 万 $1 億
シリーズ B 2012 年 7 月 $2000 万 $5 億
シリーズ C 2014 年 1 月 $8000 万 $17.5 億
シリーズ C – II 2014 年 12 月 $2000 万 $35 億
シリーズ C – III 2015 年 7 月 $1 億 $50 億
シリーズ D 2016 年 11 月 $1.5 億 $92 億
シリーズ不明 2016 年 12 月 $1600 万 -
シリーズ不明 2017 年 3 月 $505 万 -
シリーズ不明 2017 年 7 月 $622 万 -
シリーズ不明 2018 年 3 月 $3865 万 -
シリーズ F 2018 年 9 月 $2.45 億 $198 億
シリーズ F – II 2019 年 1 月 $1 億 $224 億
シリーズ G 2019 年 8 月 $2.5 億 $352.5 億
シリーズ G – II 2020 年 4 月 $6 億 $360 億
シリーズ H 2021 年 3 月 $6 億 $956 億
参照元:TechCrunch, Bloomberg, Crunchbase, CB Insights, CNBC

Stripe の初期段階でラウンドを主導した投資家は、Sequoia Capital(シリーズ A)、General Catalyst(シリーズ B)、Founders Fund(シリーズ C)です。

Stripe のシードラウンドに初めて投資した Sequoia Capital は、長期にわたって最も一貫した投資家であることに変わりはありません。シードラウンドで投資した起業家としてだけでなく著名な投資家として有名なイーロン・マスクピーター・ティール、シリーズ A で投資したエラッド・ギルとマックス・レヴチン、シリーズ B で投資したアーロン・レヴィとクリス・ディクソンなど、ラウンドに掲載されているエンジェル投資家がいます。

Crunchbase のデータによると、Stripe へのこれら 6 人のエンジェル投資家は、過去 5 年間に全体で 125 件の投資を行い、そのうち 39 件は金融サービスへの投資であり、そのうちの 16 件はユニコーン企業への資金調達ラウンドだったことも注目すべき点です。

Stripe は、これまでに 20 回の資金調達ラウンドで合計 87 億ドル(約 1 兆 1,706 億円)の資金を調達しており、最新のラウンドでは 65 億ドル(約8650 億円)を調達しました。しかし、今回の資金調達時には、時価総額は 956 億ドル(約 12 兆 7,825 億円)から 500 億ドル(約 6 兆 7,267 億円)に下落しました。これは、市場の環境や競争の激化などの要因によるものと考えられます。

また、今回彼らが手に入れたお金は、Stripe の社員たちが持っている会社の株を買い戻すのに使われます。調達に使用された新たに作られた株と同じ分量の古い株(従業員が保有しているもの)を買い取って消し去るため、株の価値が薄まることはありません。最近の評価額は少し下がっていますが、もし上場をすれば、その価値は数兆円に達する可能性があります。そのため、多くの人々がこの会社が近いうちに株を公開するのではないかと注目しています。

Stripe の今後の展望

Stripe は、オンライン決済市場において圧倒的なリーダーとして君臨していますが、その地位を維持するためには、さらなるイノベーションとチャレンジが必要です。Stripe は、以下のような課題や展望に直面しています。

1. コスト管理と収益性の向上

Stripe は、高い成長率を維持するために、多くの投資や採用を行ってきましたが、その結果、コストが増加し、収益性が低下しました。2022 年 11 月には、時価総額が 950 億ドルから 740 億ドルに下落し、2022 年 12 月には、従業員の 14%を解雇することを発表しました。

2. 競合との差別化と競争力の維持

Stripe は、オンライン決済市場において多くの競合と対峙しています。例えば、PayPal や Square などの決済大手や、Adyen や Klarna などの欧州勢や、Alipay や WeChat Pay などのアジア勢などです。これらの競合は、Stripe と同様に多様なサービスや機能を提供しており、価格競争やイノベーション競争が激化しています。

3. 新規市場や新規サービスへの進出と拡大

Stripe は、新規市場や新規サービスへの進出と拡大を目指しています。例えば、Stripe は、アフリカや東南アジアなどの新興市場における決済インフラの整備や普及に注力しており、2021 年にはナイジェリアの決済スタートアップ Paystack を買収しました。また、Stripe は、仮想通貨やブロックチェーンなどの新しい技術やトレンドにも積極的に取り組んでおり、2022 年 4 月には Twitter と提携して仮想通貨での支払いを可能にするプロジェクトを発表しました。

おわりに

この記事では、世界を代表するフィンテック企業である Stripe について、そのサービスや特徴や成功要因や今までの資金調達や時価総額や CEO や主要メンバーや今後の展望などを解説しました。ユニコーン企業となった今でも世界のトレンドにいち早く適応を見せる Stripe の今後の展望にも注目です!

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